ハンマーフェルト整形
ピアノの整音について。
調律師の作業について
調律、整調、整音があります。
大まかに説明すると
⑴調律は音のピッチ、音律、音階をチューニングします。
⑵整調は弾き心地を整えるべく、鍵盤の高さや深さ等を調整します。
⑶整音はハンマーフェルトの形状や硬さ弾力を整えていく作業です。
上記⑴〜⑶の作業はいずれも大切な作業です。どれか一つでも極端にバランスを崩していたり不良箇所があると、そのピアノの弾き心地は悪くなってしまい楽器としてのポテンシャルが発揮されません。
⑴、⑵については比較的普段の定期調律作業で行われますが⑶の整音作業については、部分的に行う場合はあっても、全体的な手入れをするケースはあまり無いと思われます。(ご家庭でご使用されているピアノの場合)
今回はグランドピアノのハンマー整形と針入れをお客様宅で行いました。
ハンマーフェルトは88本分ありますが、長年の使用と共に弦にアタックする部分が潰れてフェルトに弦の跡が食い込んできてしまい、強弱のコントロールがつけにくく、又、フェルトが硬くなり耳障りな倍音も多くなる傾向があります。
今回のケースは弦の溝が中音域で縦方向に9mm強の長さがあり、深さも食い込みが大き目になってきていました。
サンドペーパーを80番手、220番手、400番手で仕上げていきます。
↑左側、整形前 右側、整形後↑
今回のケースは溝も深めだったので、ヤスリの番手を変えながら丁寧に往復していきます。
↑右側、整形途中で羊毛がフカフカ
一台整形が終わり、アクションをピアノ内部に入れて音色を確認し、音量ごとの音色を揃えていく為に必要な箇所に針入れをしていきます。
先月調律を済ませていたので大きな音律の狂いはありませんが、ここでもう一度精密に調律をします。
↑一台全て整形が終わり美肌になりました
調律が終わった後、再度、三本弦の同時当たり、音量のバラつきを詰めていきます。
一箇所に数回の針入れをしても、そのキーが音色変化があると周りの触っていないキーの音色もバラついて感じることもあります。
チョークでチェックをつけながら、バラつきを最小限にしていくよう繰り返し繰り返し作業していきます。
トータル4時間くらいかかりましたが、ユーザーさまからも、柔らかく音の立ち上がりもクリアで大満足とのお言葉をいただけました。
音が硬い、伸びない、重すぎる、軽過ぎる、強弱がつけにくいなどなど
ピアノが弾きにくい理由は様々有りますが、ハンマーフェルトの状態、調律の状態は特に大切な要素を占めていると考えます。
状態をしっかり見立てて、バランスをいかに整え保っていけるかが、ピアノの寿命にも関わってくるので的確な作業を心掛けています。
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