古いピアノの再生
カワイのNO600を修理しています。
以前にNO500を再生しており、おおよその作りの傾向は頭にあります。
以前は飲食店に長く使われていて、その後しばらく放置されていた経緯があったようです。半世紀以上経ったピアノには色々と深い歴史があります。
汚れが大変多く、掃除に多くの時間が掛かりました。
↑元の状態、内リム木部も白く汚れています
裏側部分もペダル天秤、レバースキンも交換します。Lピンが使用により抜けてくることも多々あるので、抜け防止処置をします。
↑抜け防止
響板裏側のボタンが割れていたので接着します。
支柱にカタカナで、レンナーの文字。
なんかかわいい笑
裏も汚れています。響板の割れも接着剤を入れておきます。
脚の土台にも大きくヒビ割れがあったので接着しておきました。
↑掃除して綺麗になりました
弦を取り外す前に駒圧測定しておきます。
数カ所、おおよそ20〜30くらいでした。
問題は無さそうです。
弦を取り外し、ひたすらクリーニングです。
結構な時間を要しました。
フェルト類を製作してセッティングします。
かなり見栄えもよくなりました。
張弦していきます。
今回はチューニングピンはオリジナルを残して行いました。
ピン板の材質が良好と見受けられ、非常にピン味(回した時の感覚)が良いです。スタインウェイのピン味にも似ている感覚がありました。ルーズピンもありません。
張弦完了です。ピアノが誇らしくみえます。
フェルト類は元々青でしたが、赤に一新しておきました。
ペダルボックス内も掃除フェルト革類を交換。2本の柱の上端に3ミリ程の隙間がありました。楔を4箇所入れて再接着しておきました。
↑土台と柱に隙間あり
ハンマーはオリジナルを使うので整形します。かなり溝が深い状態でした。
サポートとの設定のボタンも磨きます。
タッチに大きく影響するので大切な部分です。
鍵盤の運動軸となるピンも磨きます。
テコ運動が良くなるとタッチ、音共に軽快、スムーズになります。
作業総括として、年代を感じる木材の良さが顕著であり、消耗パーツを丁寧に交換し、適切な調整を行うことで大変魅力的なピアノに生まれ変わりました。
また過去の長い長い歴史があり、これから新たな活躍の場と新しい歴史が刻まれていく事を想像するととても楽しみでもあり、作業を終えた充実感があります。是非100年活躍して貰いたい気持ちです。
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