カワイ CA‐40Aペダル支柱の隙間修理
今回は、カワイのグランドピアノ「CA‐40A」の調律とあわせて、ペダル部分の修理を行いました。
今回の症状は、ペダルを支えている「ペダル支柱」とペダルボックスの接合部分に、約5mmほどの隙間ができているというものです。 一見すると小さな隙間にも見えますが、この部分は演奏時に足の力が繰り返しかかるところ。 そのままにしておくと、さらに隙間が広がり、最終的には支柱が外れてしまう可能性もあります。 今回は調律と一緒に、こちらもしっかり修理しました。
ペダル支柱に約5mmの隙間 こちらが修理前の状態です。
ペダルを支えている支柱と、ペダルボックスの接合部分に隙間ができています。
【写真① 修理前・隙間の状態】
このような木部の接合部分は、長年の使用や環境による木材の変化によって、少しずつ緩みが出ることがあります。 今回も、乾燥によって木材が収縮し、接合部分に隙間が生じた可能性が考えられます。 特にこの部分は、演奏するたびにペダルを踏む力がかかります。 そのため、わずかに緩みが出ると、そこへ繰り返し力が加わり、徐々に隙間が広がっていったものと思われます。
【写真② ペダルボックスを分解した状態】
このまま使用を続けると、さらに接合部が緩み、最悪の場合には支柱が外れてしまうことも考えられます。 そのため、今回はきちんと分解して修理することにしました。 まずはペダル部分を分解 修理のため、まずペダルを取り外し、ペダルボックスを外していきます。 カワイのこのタイプはペダル部分が二重構造、二段構造になっているため、分解していくと接合部分がしっかり確認できます。 この構造は、今回のような修理をする際には非常に作業がしやすい構造です。 特に、ペダル部分を一段ずつ外すことができるため、接合部に対して工具を入れたり、しっかり力をかけたりすることができます。 また、ペダルの外周側の箱が邪魔にならないため、楔を打ち込む作業もしやすくなります。
【写真③ 接合部分に接着剤を入れた状態】
接合部分をしっかり固定 分解して確認すると、隙間ができている状態がよく分かります。 まず、ペダル支柱とペダルボックスの接合部分に接着剤を入れます。 さらに、ペダルボックス側の裏面にあるくぼみの部分にも接着剤を入れ、接合部分をしっかりと打ち込んでいきます。
【写真④ 楔を打ち込んだ状態】
ただし単純に接着剤を入れて叩き込むだけでは、長期間使用しているうちに再び抜けてしまう可能性があります。 そこで今回は、接合部の両側から楔を打ち込み、しっかりと固定しました。 左右それぞれ2か所ずつ、合計4か所に楔を入れています。 このような修理は、これまでにも何台も行っています。 経験上、この方法で修理したものが後から抜けてしまったことはありません。 もちろん、ピアノの状態や木部の傷み具合などによって適切な修理方法は変わりますので、状態を確認したうえで作業を行います。 ペダルを一段ずつ組み戻します 接合部分をしっかり固定したら、取り外したペダルを元に戻していきます。 カワイCA40は二段構造になっているため、ペダルを一段ずつ戻しながら組み立てていきます。 最後にペダルの位置や踏み込み具合などを確認し、ペダル調整を行います。 単に支柱の隙間をなくすだけではなく、修理後にペダルが正常に動作するところまで確認して作業完了です。
【写真⑤ 修理完了】
修理完了 こちらが修理後の状態です。 約5mmあった隙間もしっかりと収まり、接合部分を固定することができました。 ペダルは演奏するたびに大きな力がかかる部分です。 特にグランドピアノでは、ダンパーペダルをはじめ、演奏者が足で繰り返し力を加えるため、ペダル周辺の木部にも長年の使用による負担が蓄積します。 また、北海道では冬場の乾燥による木材の収縮もあります。
「ペダルを踏むと雑音が出る」「ペダルの付け根に隙間がある」「以前よりペダルがぐらつく」といった症状がありましたら、単純な調整だけではなく、内部の接合部分に緩みが出ていないか確認する必要があります。 今回は調律と同時に修理することで、ペダル部分もしっかりとした状態に戻すことができました。
ピアノは音や鍵盤だけではなく、こうした細かな木部の状態も演奏性に関わってきます。
調律の際には、音の状態だけでなく、ピアノ全体の状態を確認しながら必要なメンテナンスをご提案しています。
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