グランドピアノのキャスター向きについて
グランドピアノが地面と接する点は、3箇所のキャスターになる訳ですが、このキャスター(真鍮製の車輪)向きによって響きが変わるという不思議があります。
どの向きが良いとか悪いとかは、それぞれの環境によってケースバイケースなので断定することは出来ません。
では、キャスターの向きを変えた時に何が起こっているのか?について考えてみます。
例えば、低音側と高音側のキャスターを外向きにした時の鍵盤の(中音付近)深さと、内向きにした時の鍵盤の深さを比べた時には、内向きにした時に鍵盤が僅かながらに深くなった事を確認出来ました。これはキャスターの向きによる重量バランスが変わり、棚板の緊張感が僅かに変化したと言えるでしょう。
深さが微妙に変わるという事は発音タイミングの微差も生じて音色の差へも繋がるでしょう。また本体ケースへの音の伝播も変わる事が想像できます。
奥側(演奏者から遠い)のキャスターの向きについても、同様に内部に微妙な変化が起きるようです。以前に弦圧計で測定した事がありますが、90度違えば計測器の値に変化がありました。これはキャスターの向きによって弦圧(駒圧)に微妙が出来た事を示しています。
たかがキャスターの向きでこれだけの変化が見られるのも非常に興味深いことです。
インシュレーター(キャスターを乗せる皿)の材質によっても(木製、プラスチック製等)音の伝達は変わるので、面白いですね。
置く位置や向きを数センチ変えるだけでもイメージはがらりと変わります。
内部の調律調整も音色を決定する大切な要素ですが、音場も含めてトータル的に響きについて考える事が大切です。
↑弦圧測定中
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